次に訪れたのはパキスタン記念碑。2007年に建設されたこのモニュメントは、イギリスからの独立運動による犠牲者を讃えるためのものだ。4つの大きな花びらのようなデザインは、パキスタンの4つの州(パンジャブ州、シンド州、バローチスターン州、カイバル・パクトゥンクワ州)を表しており、それぞれの文化と国全体の統一感を象徴している。

記念碑に隣接する博物館では、パキスタンの歴史や文化に加え、健康や医療に関する展示も見られた。特に、伝統医療と現代医療の共存についての展示が興味深い。地元のハーブを使ったティーは、ストレス軽減や免疫力向上に効果があるとされている。また、旧ソ連のアフガニスタン侵攻時には、多くの難民がパキスタンに避難し、その支援にパキスタン赤十字社が尽力した歴史も紹介されていた。献血活動や感染症対策など、現在も地域医療支援に多大な貢献をしている。

こうしたイスラマバードの観光地を巡っていると、道行く人々に写真を求められることが多かった。特に子供たちは興味津々な様子で、遠足中の集団に囲まれた際には、完全に身動きが取れなくなってしまった。
「一緒にクリケットやろうぜ!」
バットを持った少年が無邪気に声をかけてきた。クリケットはパキスタンの国民的スポーツであり、街中の広場では子どもたちが遊ぶ姿を頻繁に目にする。特に隣国インドとの試合は国民的なイベントであり、非常に高い視聴率を記録するそうだ。

次に別の少年が話しかけてくる。
「歌って踊れるのか?あなたはアイドル?それともYoutuber?」
こうした発言から、現地の若者たちがSNSやインターネットを通じて東アジア文化に触れていることがわかる。ただ、K-POPアイドルかYoutuberのどちらかしか選択肢がないということは、東アジア人を実際に見る機会はほとんどないのだろう。
コロナ禍の影響もあり、パキスタンを訪れる日本人旅行者は年間1,000人ほどに過ぎないため、この反応も納得できる。

K-POPは南アジアでもその人気が急上昇しており、2023年にはパキスタンの少女2人が、BTSに会うため韓国行きを計画し、失踪するという事件まで起きているほどだ。その影響なのか、イスラム教のこの国でも、現地の女性から声をかけられることが少なくなかった。こうしたK-POP人気により美意識にも変化が見られ、パキスタンでも美容整形が一般的になりつつあるようだ。

博物館で出会った20歳の少女は、日本の経済的安定に憧れ、結婚を視野に入れ連絡先を聞いてきた。しかしその後、僕が非ムスリムだとわかると、ガッカリした様子で立ち去って行った。イスラム教では、ムスリムの女性が非ムスリムの男性と結婚することは認められていないためだ。どうやら彼女は、僕をイスラム教に改宗させる気はなかったらしい。
こうして人々との交流を楽しみ、満足感を胸に次の目的地ラホールに向かうことにした。 バスに乗ること約5時間、クラクションが賑やかに響く活気ある街へと辿り着いた。商店が立ち並ぶ大通りには、カラフルなリキシャと呼ばれるバイクタクシーがひっきりなしに行き交い、空気は少し霞んでいたが、人々のエネルギーが肌で感じられた。
【旅のメモ⑦】
街中を歩いていると、多くの人々から写真を求められた。後になって知ったのは、彼らが皆その写真をtiktokに投稿していたということだった。珍しい東アジア人と写真を撮った、という承認欲求に使われているだけだったのかもしれない。
ラホールへは、イスラマバードからバスで約4、5時間で到着する。市内のファイザバードバスターミナルから乗車でき、その場でチケットを購入できる。
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